⚡ 要点
- ねじの成形法は 2 系統です。 切削(旋削・転削)と転造(平ダイス・丸ダイス)。締結部品の約 99% は転造です。
- 平ダイス(転造板): 2 枚の平板を相対摺動させます。M1〜M12 の小径、大量生産、標準公差に最適です。
- 丸ダイス(転造ホイール): 2 枚の回転円板を使います。M6〜M60、高精度、長いねじ部に最適です。
- 転造ねじは切削ねじより 20〜30% 強い のは、メタルフローがねじ山形に沿って流れ、分断されないためです。
- ダイス材の階層: 汎用の SKH-9、中荷重の DC53、長寿命の超硬合金。
- ねじ公差はダイス公差で決まります。 6g は標準ダイスで得られ、4h には研削ダイスが必要です。
- ダイス寿命は 5 万〜500 万個で、 ダイス材、ワーク材、潤滑で決まります。
1. ゲージが通らなかったねじ
ある工場が M6 × 1.0 のねじを生産していました。転造後の部品の 50% が GO/NO-GO ゲージ検査で不合格となりました。調査の結果、摩耗した平ダイスが交換されずに使われており、有効径が大きい側へずれていたためです。
ダイスを新品に交換すると、合格率は即座に回復しました。教訓は単純です。転造ダイスは消耗品であり、勘ではなく測定した間隔で交換しなければなりません。
2. 平ダイスと丸ダイスの比較
| 観点 | 平ダイス(板) | 丸ダイス(ホイール) |
|---|---|---|
| サイズ範囲 | M1〜M12 | M6〜M60 |
| 生産速度 | 毎分 100〜300 個 | 毎分 20〜60 個 |
| ねじ公差 | 標準で 6g | 4h〜6g |
| 長いねじ部 | 不向き — 板長の制約 | 適している |
| 相対コスト | 1× | 3× |
| 代表製品 | ボルト、機械ねじ | スタッド、大径ボルト、長ねじ |
使い分けは主に経済性です。平ダイスは速く 1 個あたりも安いため、サイズと長さの範囲に収まるものは平ダイスに回します。ねじ長さが径の約 3 倍を超える場合や、板に収まらない大きさの場合は丸ダイスが有利です。
3. ダイス材
| 材料 | 硬さ | 寿命(千個) | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| SKH-9(ハイス) | 62 HRC | 100〜500 | 炭素鋼、汎用 |
| DC53 | 61 HRC | 300〜1,000 | ステンレス、合金鋼 |
| 超硬合金 | 88 HRA | 2,000〜5,000 | 大量生産、ステンレス |
4. ねじ公差とダイス公差
- 6g、標準の市販等級: 標準ダイスで製造でき、締結部品の大半をカバーします。
- 4h、精密等級: ダイスの研削が必要で、コストは 2〜3 倍、山頂が鋭くなるためダイス寿命は短くなります。
- 転造ねじは切削ねじより疲労強度で 20〜30% 強い のは、メタルフローが谷を回り込むように流れ、切削のように分断されないためです。
- ブランク径はダイスと同じくらい重要です。径が小さいと山頂が不完全になり、大きすぎるとダイスに過大な負荷がかかり部品が割れます。
5. 潤滑
転造には硫化系または動物油脂系の潤滑剤を使います。潤滑不足はフランクのむしれとダイスの急激な摩耗となって現れ、ダイス品質の問題と誤認されがちです。ステンレスでは、同じダイスで 5 万個と 50 万個の差を生むのが潤滑です。
6. 判断フローとよくある質問
ステップ 1:サイズはいくらか
M12 以下なら平ダイス。M12 超なら丸ダイスです。
ステップ 2:材料は何か
炭素鋼なら SKH-9。ステンレスなら超硬合金です。
ステップ 3:公差は何等級か
6g なら標準ダイス。4h なら研削ダイスです。
よくある質問
Q:転造と切削はどちらが優れていますか。 転造です。強度が高く、表面性状が良く、切粉が出ず、ブランク径が完成ねじ径より小さいため材料歩留りも良くなります。締結部品はほぼ転造一択です。切削は、肩部や止まり穴など転造できないねじに限られます。
Q:平ダイスはどれくらいもちますか。 M6 の炭素鋼で約 30 万〜50 万個、ステンレスでは 5 万〜10 万個です。
Q:GO/NO-GO の判定が安定しないのはなぜですか。 ほぼ必ずダイス摩耗かブランク径の誤りです。まずブランクを確認してください。ダイスより安価に修正できます。