⚡ 要点
- 主要な規格体系は 5 つです。 GB(中国)、ISO(国際)、DIN/EN(ドイツ・欧州)、ANSI/ASME(米国)、JIS(日本)。
- ISO が国際的な基準です。 GB と DIN は ISO をほぼそのまま採用していますが、ANSI と JIS は独自の寸法体系を維持しています。
- メートルねじとインチねじが根本的な分岐です。 M シリーズと UNC/UNF はどのレベルでも互換できません。
- 強度区分は別の言語です。 メートル系は 4.6/8.8/10.9/12.9、インチ系は SAE Grade 2/5/8。
- 旧 DIN 番号は改訂されています。 DIN 912 は現在 DIN EN ISO 4762 であり、版の年も重要です。
- IFI は米国工業締結部品協会(Industrial Fasteners Institute)です。 米国のインチ系締結部品の詳細寸法を整備している団体です。
- 寸法だけでなく規格番号を明記します。 規格には寸法、公差、材料、表示がすでに含まれています。
1. 規格番号の記載違いによる不合格
輸出案件で「M8 × 20 の六角穴付きボルト」と指定し、買い手は DIN 912 を求めていました。工場は DIN 912 で出荷しましたが、現品は不合格となりました。注文書は厳密には ISO 4762 を要求していたからです。
両者は寸法的にほぼ同一ですが、買い手は ISO 4762 で検査しており、頭部高さと六角穴の公差がわずかに異なります。受入検査で落ちるには十分な差でした。
教訓は、規格番号は年版まで含めて完全かつ正確に記載することです。注文書には「DIN 912 相当」ではなく「DIN EN ISO 4762:2015」と書くべきです。図面でも同じ規律が必要で、「M8 六角穴付き」だけでは供給側が推測するしかありません。
2. 5 つの規格体系
| 体系 | 国・団体 | ねじ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| GB | 中国(SAC) | メートル | ISO をほぼそのまま採用 |
| ISO | 国際(ISO/TC 2) | メートル | 世界の基準 |
| DIN/EN | ドイツ/欧州(CEN) | メートル | 産業実務で最も厳格 |
| ANSI/ASME | 米国 | 主にインチ | UNC/UNF ねじ、IFI 寸法表 |
| JIS | 日本 | メートル | 精密で、長さ系列が短い |
実務上の階層は、ISO が中央にあり、各国のメートル規格の多くがこれを踏襲する形です。国別規格が今も異なるのは、ねじそのものより、二面幅、長さの刻み、表示の要求であることが多いです。
3. ねじ規格
| 規格 | 規定している内容 |
|---|---|
| ISO 68-1 | メートルねじの基本山形 |
| ISO 724 | メートルねじの一般寸法 |
| ISO 965 | メートルねじの公差(おねじ 6g/めねじ 6H) |
| ASME B1.1 | ユニファイインチねじ、UNC と UNF |
| JIS B 0205 | JIS メートルねじ |
輸出案件では 6g/6H が標準の公差等級であり、市販締結部品の圧倒的多数をカバーします。これより厳しい等級(例えば精密嵌合の 4h6h)は明示が必要で、検査ゲージの精度向上と工具交換頻度の増加によりコストが上がります。
4. 強度区分
| メートル区分 | SAE グレード | 引張強さ(MPa) | 降伏比 |
|---|---|---|---|
| 4.6 | Grade 2 | 400 | 0.6 |
| 8.8 | Grade 5 | 800 | 0.8 |
| 10.9 | Grade 8 | 1,040 | 0.9 |
| 12.9 | — | 1,220 | 0.9 |
メートルの 8.8 は強度的に SAE Grade 5 とほぼ同等ですが、同等と互換は違います。寸法、ねじ山形、頭部形状がすべて異なります。
メートルの強度区分は 2 つの数字として読みます。1 つ目は引張強さを MPa の 100 倍単位で表し、2 つ目が降伏比です。つまり 10.9 は引張強さ 1,040 MPa、耐力 900 MPa を意味します。この約束を知れば区分は自己説明的になり、数字に算術的な意味がない SAE グレードより仕様化が容易な理由でもあります。
5. 主要な番号の対応表
| 製品 | DIN | ISO | GB |
|---|---|---|---|
| 六角穴付きボルト | DIN 912 | ISO 4762 | GB/T 70.1 |
| 六角ボルト(全ねじ) | DIN 933 | ISO 4017 | GB/T 5783 |
| 六角ボルト(半ねじ) | DIN 931 | ISO 4014 | GB/T 5782 |
| 六角ナット | DIN 934 | ISO 4032 | GB/T 6170 |
| 平座金 | DIN 125 | ISO 7089 | GB/T 97.1 |
| スプリングワッシャ | DIN 127 | — | GB/T 93 |
| 六角穴付き止めねじ | DIN 916 | ISO 4026 / 4027 / 4029 | GB/T 78 / 79 / 80 |
スプリングワッシャには ISO の対応規格がありません。ISO が削除した理由は、ゆるみ止め効果が信頼できないからです。DIN 127 が残っているのは、旧図面が今も指定しているためです。振動に対するゆるみ止めをスプリングワッシャに依存した設計なら、規格化するのではなく、その依存自体を見直すべきです。
6. よくある誤解
7. 判断フローとよくある質問
ステップ 1:顧客はどこか
中国なら GB。欧州なら DIN/EN。米国なら ANSI/ASME、詳細寸法は IFI。日本なら JIS。
ステップ 2:メートルねじかインチねじか
M シリーズなら ISO、GB、DIN、JIS。UNC/UNF なら ASME B1.1 と IFI ハンドブック。
ステップ 3:番号で指定するか寸法で指定するか
番号と年版を明記します。寸法だけの指定は、規格が存在しないカスタム品に限ります。
よくある質問
Q:DIN 912 と ISO 4762 は互換できますか。 一般の商用組立では概ね可能で、現在流通する部品の大半は両方の表示を持っています。安全重要部品や自動組立では、図面と照合して頭部高さと六角穴深さを確認せずに互換してはいけません。
Q:IFI とは何ですか。 米国の業界団体、Industrial Fasteners Institute です。ハンドブックFastener Standards(現在第 5 版)は、ASME が詳細を規定していないインチ系締結部品寸法の参照資料です。
Q:JIS B 1111 は ISO 4014 とどう違いますか。 JIS の六角頭は同じ呼び径でも二面幅が小さく、長さ系列も短いです。そのため 13 mm の JIS 頭が、異なる呼び径の 13 mm ISO 頭の代替になることがあります。図面照合なしに JIS 品を ISO 品の代替と考えてはいけません。