⚡ 要点
- 標準的な締結部品のねじ山の 90% は切削ではなく転造です。 2 枚のねじ付きダイスがブランクを圧縮し、約 1 秒でねじ山を成形します。その結果は切削より 20〜30% 高強度です。
- 転造が強い理由。 切削は金属の繊維を切断しますが、転造は繊維をねじ山の形状に沿って流すため、結晶粒の流れが連続したままになり、疲労強度が 20〜30% 向上し、脆性破壊が起こりにくくなります。
- 精度と表面も良好。 6g は日常的で、Ra 0.8〜1.6 μm に対し切削は Ra 3.2 μm です。
- コストは極めて低い。 ダイス 1 組で 10 万〜50 万個に耐えるため、ねじ山のコストは旋削の 1% 程度で済みます。
- 材料の制約があります:伸びが 8% 以上、硬さが HRC 32 以下であること。焼入れ材や脆性材は転造できません。
- 2 つの方式:単純な部品には平ダイス転造、高精度が必要な場合は円筒(2 本または 3 本ロール)転造です。M6 未満は平ダイス、M6 超または精度重視はロール機です。
- 転造は表面を加工硬化させます。 ねじ山の硬さが 10〜20 HV 上昇し、耐摩耗性が向上します。
目次
1. 転造の仕組み
2. 転造と切削の比較
3. 平ダイス転造と円筒転造
4. 適する材料
5. よくある不具合
6. 市販ねじが転造である理由
2. 転造と切削の比較
3. 平ダイス転造と円筒転造
4. 適する材料
5. よくある不具合
6. 市販ねじが転造である理由
1. 転造の仕組み
転造は冷間のバルク成形です。
- 焼なました線材、または概ね有効径に近い径のブランクを、2 枚のねじ付きダイスの間に置きます。
- 一方のダイスが往復し、他方は固定されます。
- ダイスが表面に食い込み、金属が塑性流動してダイスの溝に充填されます。
- 1〜2 秒でねじ山が完成します。
切り粉が出ないため、材料歩留りは実質 100% です。
2. 転造と切削の比較
| 項目 | 転造 | 切削(旋削・フライス) |
|---|---|---|
| 強度 | 高い(+20〜30%) | 基準 |
| 疲労寿命 | 高い(+50%) | 基準 |
| 精度 | 安定して 6g | 6g は可能だがばらつく |
| 表面粗さ | Ra 0.8〜1.6 | Ra 3.2〜6.3 |
| ねじ山あたりのコスト | 旋削の約 1% | 基準 |
| 材料歩留り | 100% | 60〜80% |
| 経済ロット | 10,000 個以上 | 1,000 個未満 |
💡 技術者の直感:量産ねじのねじ山は、まず間違いなく転造です。切削するのは試作、極端に大きいサイズ、特殊形状だけです。
3. 平ダイス転造と円筒転造
| 方式 | 機械 | 精度 | サイズ | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| 平ダイス転造 | 平ダイス転造機 | 6g | M1〜M12 | 標準ボルト・ねじ |
| 円筒転造(2 本または 3 本ロール) | ねじ転造機 | 4h〜6g | M6〜M100 | 精密部品、送りねじ、油圧継手 |
4. 適する材料
| 材料 | 伸び | 硬さ | 転造可否 |
|---|---|---|---|
| 低炭素鋼 1008/1010 | 30〜40% | HRB 60 | ✓ 最も容易 |
| 中炭素鋼 1045 | 15〜20% | HRB 80 | ✓ |
| 合金鋼 SCM435 | 15% | HRB 90 | ✓ 焼なまし材 |
| ステンレス 304 | 40% | HRB 85 | ✓ ただしダイス摩耗が早い |
| アルミ 6061 | 12% | HB 95 | ✓ |
| 焼入れ鋼(HRC 40 以上) | 5% | HRC 40 | ✗ 硬すぎる |
| 鋳鉄 | < 1% | HB 200 | ✗ 脆すぎる |
⚠️ 焼入れ後に転造してはいけません。 8.8 以上は先に転造し、その後焼入れ焼戻しを行います。順序を逆にするとねじ山に割れが生じます。
5. よくある不具合
- ねじ山のむしれ:材料が硬すぎるか、ダイスが摩耗しています。
- 楕円ねじ:ブランク径が不適切です。
- 端部のバリ:ダイスの入口角が不適切です。
- 表面割れ:材料が脆すぎるか、伸びが不足しています。
6. 市販ねじが転造である理由
任意のねじを分解し、フランクに沿って見てください。螺旋状の工具痕ではなく、連続したメタルフローが見えます。これが転造の証であり、標準ボルトが安価で高強度である理由です。
よくある質問
Q. すべてのねじ山を転造できますか。 M3 超で量産なら可能です。M1 未満や単品では切削を用います。
Q. ダイスの寿命はどのくらいですか。 標準的な鋼対鋼で 5 万〜10 万個、超硬ダイスなら 100 万〜500 万個に達します。
Q. 後工程で熱処理は必要ですか。 転造は熱処理の前に行います。逆だと硬すぎます。高強度部品は転造後に焼入れ焼戻しを行います。